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第二回「多様化する家族と子どもの権利について」

更新日:5月19日




2024年9月29日 日曜日


ジェンダーロールを乗り越えようの会 第ニ回

「多様化する家族と子どもの権利について」


参加者数:3名


家族になる?養子の戸籍のリアル


戸籍上、普通養子縁組で迎えた養子は「養子」、実子は「長男」と表記されます。養子縁組には、実親の親権が残る普通養子縁組と、親権が消える特別養子縁組の2つがあります。養子を実子として育てるのか、オープンに養子であることを伝えるのかは、家庭や時代によって異なります。妊娠期間中に別の場所で過ごして、養子であることを隠す家庭もありますが、時代とともに、オープンにする方が生きやすいという選択も増えてきたようです。この戸籍上の表記が家族の在り方にどんな影響を与えるのか、考えさせられます。


日本では同性婚がまだ認められていませんが、年下のパートナーを養子にすることで、同じ苗字を名乗り、同じ戸籍に入る方法を取る同性カップルもいます。興味深いことに、戸籍上ではこの場合も「養子」として表記されます。しかし、法律上の夫婦でない限り、特別養子縁組によって子どもを迎え入れることはできません。(普通養子縁組の場合は一人で養子をとることができる)そのため、子どもを育てたい同性カップルは里親制度を利用するケースが多いようです。ただし、里親制度の場合、戸籍上での親子関係は記載されず、生みの親が親権を保持することになります。



不妊と家族:制度の違い


アメリカの一部の州やギリシャ、ロシア、ジョージア、ウクライナでは、家族の新たな形として代理母出産が法律で認められています。不妊に悩むカップルにとって一つの選択肢となる一方で、子どもの福祉への懸念も指摘されています。スウェーデンでは、親を知る権利が重視され、代理母出産は認められていませんが、精子提供者の情報開示や養育費の義務化など、子どもの権利を守るための法律が充実しています。不妊治療や体外受精、卵子凍結など、さまざまな方法を模索するカップルが多くいますが、不妊に悩む家族の選択は、国の制度によって大きく影響されることがありそうです。



シングルマザーの支援制度とコミュニティー


シングルマザーへの支援は自治体ごとに異なります。法律で生活が守られるためのルールが定められていますが、これを上手に活用することが重要です。たとえば、児童扶養手当などの支給が受けられるはずなのに、役所の誤った対応で受け取れないケースもあるようです。知識の有無が、個人を守れるかどうかを左右することがあるのではないでしょうか。


シングルになる理由は離婚だけではありませんが、親権争いにおいては、子どもへの愛情よりも養育費や慰謝料を諦めさせるために親権を主張することがあると言われています。また、シングルではないにもかかわらず、シングルマザーの給付金を受けるために、母子手帳には父親の名前が記載されていない一方で同棲している人など、倫理や法律に反する行動をとるケースも存在します。シングルマザーと一口に言っても、その状況はさまざまです。ルールをうまく活用する人もいれば、ルールを知らずに手当を受け取れない人、さらには制度を悪用する人もいます。


自治体の支援制度を活用して生活を整えることも一つの方法ですが、法律がすぐに変わることは期待できません。そのため、育児を支えるコミュニティとつながることが大切です。問題を共有し、話し合いながら消化できるコミュニティとつながることで、より良い環境を築けるのではないでしょうか。



家族像のステレオタイプを超えて


それぞれの心の中には理想的な家族像が存在し、典型的な「いいママ」や「いいパパ」のイメージに自分を重ねることで、自分を卑下してしまうことがあります。脚色されたステレオタイプの家族像からどのように自分を解放していくことができるのでしょうか。国としては少子化を食い止めたいと考え、第三子大学無償化(2025年〜)などのルールを設けることで、国全体をその方向にコントロールしています。しかし、理想的な家族像に対応した制度だけが整っていても、各自が自分に合った家族像を描くことは難しいでしょう。制度だけでは根本的な問題は解決できませんが、それぞれが自分の「ママ像」や「パパ像」を自由に思い描けるようになることが重要です。


また、長男としての理想像が子どもに押し付けられることもあります。「長男だから」「男の子だから」という理由で、その場を納めるケースを見かけることも少なくありません。長男という役割を与えることで対話の手間が省かれることがありますが、その対話を怠ると、誰かの抱く男性や女性の理想像に押し込められる危険性があります。男は働き、女は家事を頑張るという明確な役割分担が存在した時代は終わりました。今こそ、それぞれが自由に役割を選択できるための対話が欠かせません。男だから、女だからという理由ではなく、あなただからという対話によって、ジェンダーロールを乗り越えていけるのではないでしょうか。



今後の課題


今回の議論を通じて、多様化する家族を支援する制度の様々な国の事例を学ぶことで、子どもの福祉を優先に考えた制度の整備が両軸共に整備されていかなければならないのだということを知りました。同時に法律の整備だけでなく、コミュニティーの力で多様化する家族とこどもとどう向き合っていけばいいか考えていく必要がありそうです。

具体的には、以下の点が重要だと思います。


  1. 同性カップルの権利と選択肢の拡充

    同性婚が認められていない現状で、養子縁組や里親制度の活用がされていますが、これに伴う法律の整備が必要です。同性カップルが法的に安定した親子関係を築けるよう、制度改革の議論が進められることが期待されます。


  2. 不妊治療に関する法律の整備

    不妊治療や代理母出産に関する法律が国によって異なるため、子どもの福祉を最優先に考えた制度の整備が必要です。


  3. 家族のステレオタイプに対する意識改革

    典型的な家族像や役割に縛られず、各自が自分に合った家族像を描けるような文化を育むことが必要です。これには、社会全体での意識改革が求められ、ジェンダーロールに関する対話が欠かせません。


これからも、ジェンダーロールを乗り越えるための対話をつづけていきたいと思います。


まとめ:ダンシロウ



参考文献:


「あれも家族これも家族 個を大事にする社会へ」福島瑞穂(ふくしまみずほ)著
第3章 子どもをめぐって

家族の多様化をテーマに、ジェンダー平等と個人を尊重する社会の在り方を、法律や制度の説明を交えながら考察する一冊。


著者紹介:

日本の政治家・弁護士で、ジェンダー平等や人権問題に取り組む。社会民主党のリーダーとして、弱者や少数派の権利を守る政策を推進。著書では、多様な家族のあり方や社会変革の必要性を訴える。



 
 
 

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